虚空蔵法輪寺針供養(はりくよう)は天皇の命により、皇室で使用されていた針を供養したのが起源と言われています。ちなみに平安時代に第56代・清和天皇が法輪寺内に針供養の堂を建立したとも言われています。なお法輪寺の本尊・虚空蔵菩薩は手芸の守護仏とされているそうです。
針供養では先ず本堂で僧侶による読経などの仏事が行われます。その後日本舞踊・織姫の舞が奉納されます。舞の奉納終了後、大針をコンニャクに差して供養します。大針をコンニャクに刺すのは日頃裁縫などで一所懸命働いた針を柔らかいコンニャクに刺して休んでもらうという意味があるそうです。なお針供養では本殿前に日頃裁縫の針仕事などで使用している針を納める針納箱も設置されます。
針供養は事八日(ことようか)の内、事始めの2月8日・事納めの12月8日に行われます。事始めは古来農耕を始める日、事納めは農耕を終える日とされ、両日は身を慎んで過ごす日とされました。その為針仕事も休んで供養する日になったようです。ただ法輪寺のように両日ともに針供養を行う寺社もあるが、関東では事始めの2月8日、関西では事納めの12月8日に行われることが多いそうです。針供養は現在全国で行われているが、和歌山・淡島神社(粟島神社)が起源とも言われているそうです。また中国から日本に伝わったとも言われています。なお針供養ではコンニャクだけでなく、豆腐・餅に刺したり、海・川に流したりすることもあるそうです。
縫い針は今から3、4万年前の旧石器時代後期に東シベリアで発明されたとも言われています。皮製の衣服を防寒具にする際に発明されたそうです。なお縫い針には中国から伝わった穴が円形の和針(唐針)とアメリカから伝わった穴の楕円形のメリケン針 があるそうです。
虚空蔵菩薩(秘仏)は古来から手芸の守護仏とされています。なお虚空蔵菩薩は円蔵寺と金剛証寺の虚空蔵菩薩と合わせて、日本三大虚空蔵に数えられています。ちなみに虚空蔵とは宇宙のあらゆる物を一切収蔵しているという意味だそうです。